みるものとみられるもの
2017/11/24
放射線科医の先生と話をした
放射線科という科は、放射線を使って診断や治療をする
それは内科とか、小児科とか、泌尿器科とかいった
「みる」対象による区分ではなくて
「みる」方法による区分というところが面白いと思った
先生は、ただ撮影することだけを求められていると
感じるようなこともあったと語り
僕は、写真屋さんですね、と云って少し笑った
メーデーのプール
2017/05/01
風の強い春の午後
数ヶ月ぶりに泳ぐ
人の少ないプール
息を継ぐ度見える
少し傾いた太陽と
ガラスの向こうで揺れる木立
牯嶺街少年殺人事件
2017/03/16
25年前に出会った映画
タイムマシンに乗るかのように
座席について
映画館が闇に包まれたとき
もう一度、世界が蘇って来る
主人公に殺される直前に
少女の放つ言葉の切なさ
「世界は変わらない」
青い鳥「普通の人々」
2017/03/04
最後に観たのは1993年新宿スペースゼロ
あの頃にはなかった大阪の劇場にて
久しぶりの再会にもかかわらず
役者の身体も、あの声も
全く失われたいなかった驚きと
ニコニコしながら観ている
あの頃と同じ幸福感
テーマもストーリーも
リアルで悲しいものだったけれど
それを包み込む青い鳥の舞台は
暖かく清々しい
聖地にて
2017/03/03
20年以上前に
こっそりと奈良の山中に隠した秘密を
探しに出かける
秘密を探すことが
最大の楽しみだと思って
色々な手間をかけて
秘密を隠したのだけれど
その中身については
すっかり忘れてしまった
隠したものは
誰かに持ち去られていて
その場所にはなかった
宇宙図書館
2017/03/02
この冬は
少し時間があるので
バブルと呼ばれていた時代の頃に
体験していたことを
あれやこれやと追いかけている
それが
とても楽しくてしょうがない
膝は少し
痛いのだけれど
人生フルーツ
2017/01/28
スーパーの棚から
高くても土のついたネギを
選びながら
選択は毎日のようにそこにあることに気がつく
人生は小さな選択を積み重ねていくこと
そして細やかな日常の所作の中に
美しさが宿るのだ
この世界の片隅に
2016/12/31
戦争になれば僕らは
戦艦に乗せられるわけでもなく
戦闘機で飛ばされるわけでもない
こんなにも
この映画に惹かれるのは
洗濯物を干したり
晩御飯のことを考えたり
昨日のような今日を、明日も続けなければならない
自分の姿があるからなのだ