contact of the day

September 2010

August 2010

July 2010

シンプル

2010/08/30

Smiler
障害者の介護を題材にしたストーリーテリング
ストーリーテリングという表現にもだいぶ慣れてきたが
やはり身体表現が少ないとノンネイティブにはつらい
でもこんなふうに語られるべき物語が
今の日本にもっとたくさんあってもいいような気がする
一人、舞台で笑ったり、泣いたりする演者を見ていて
日本の落語を思い出したのだった

BOUND
蟹工船もこんなふうに舞台にすれば、と思った
海で、魚をとって働く
それは景気後退とかサブプライムローンとか
全く関係の無い話のはずなのに
シンプルなことをシンプルに出来ない
まったく複雑な世の中になってしまった

ミュージカルズ

2010/08/29

Fringeの最後の日曜日は
ミュージカルを二つ見る
in Touch はインターネットの中と現実との人格を
別の役者が演じるというミュージカル
リアルの自分とアバターというダブルスタンダードは
すっかり普通のコトとして世界に溶け込んでいる
舞台というリアルな身体を感じる場所で
ネットという非リアリティーの存在を演じているのが新鮮だった

そしてSpring Awakeneing は、トニー賞をとったミュージカル
ストーリーは古典で、展開はシンプルでもどかしいぐらい
けれどその分、描写は濃密で
音楽も演技も素晴らしく、このままウェストエンドでやっていても
おかしくないぐらい見事なミュージカル
こんな素晴らしい舞台が13ポンドで
しかも小さな劇場で見られる贅沢

カジモドの涙

2010/08/27

ノートルダムのせむし男のひとり語り
これもどちらかというとストーリーテリングに近い
けれども話を知っている分、観やすい
たったひとりで、大勢の観客を前に
劇場という空間を支配する
役者の表現力に
引き込まれる

舞台を終えた最後の挨拶で
役者が流していた涙は
カジモドの涙だったに違いない

新しい課題

2010/08/25

Edinburghで沢山の舞台を見てきたが
チケットを買っていたのに
観に行くのを忘れてしまったのは
今日が初めて

その時間に自分はプールで
気分よく泳いでいたのだった

左足のキックをかばうために
右手のクロールが強くなって
背中の右側が痛くなってしまった
おかげで左で息継ぎをするたびに背中が痛む
何事もバランスというのは大切だ
これまでやっていなかった右側での息継ぎをすることにした
左へのローリングの際に右側で顔を上げて
バランスを崩さないようにするためには
左足をしっかりとキックする必要がある
水を飲んだり、バランスを崩したり
まったく泳ぎ慣れていないフォームになってしまったが
それでも少しずつ、左右対称に近づいてくる
課題ができるのはそれなりに楽しい

Apple Green

2010/08/24

エジンバラについて2日目に頼んだ
折りたたみ自転車を今日引き取りに行った

どの色にするかを迷っていたのだけれど
カタログではぱっとしなかった色が
店頭で一番きれいに見えたので
それに決めた

そういえば、4月に日本で買った
パタゴニアのバッグも
そんなふうに店頭で実物を見て色を決めた

ここしばらくはみどり色が呼んでいるのかもしれない

Hamlet the Musical

2010/08/23

これは自分にとっての今年度のベストかも知れない
悲劇と喜劇はとても近いということを思い知らされた
最後の最後まで、面白おかしい、笑える
ハムレットのミュージカル
父親の亡霊が、なぜかエルビス・プレスリーの格好だったり
ローゼンクランツとギルテンスターンは、パペットだったり
一瞬生き返ってコーラスに参加するオフィーリアとか
これだけ笑いというものをとりながらも
それでもハムレットは逡巡する、もちろん笑いをとりながら
押さえる所だけはしっかりと押さえている
生きるべきか死ぬべきかそれが問題だ〜
カーテンコールでは観客も一緒に歌うのだった

The Door

2010/08/22

この安心安全な国で
戦争という問題を論じるのに
演劇という表現手法の持つ
大きな可能性を感じた

映像や新聞記事よりも
感情がダイレクトに届く
劇場という虚構の世界にありながら
論じられるのは現実なのだ

上手な役者に上手に騙される安心
素晴らしい演技は観客を
虚構の先の現実に連れてゆく
そして、一人の人間という
最小単位のリアリティーに根ざした
逃れられない現実と向き合わされるのだ

Romeo and Juliet

2010/08/21

芝居としてみるのは3度目の
Romeo and Juliet
残念ながら、今までに観たうちで
最高のものとはならなかった
作り手も観客もストーリーを知っているから
Shakespeareのテキストが
どんなコンテキストで観られるのか
どんなふうに感動が起こるのか
観る方も作り手も
安心と不安の両方を抱えている
そうやってクラシックは
時間を超えて生きる

Sticks, Stones, Broken Bones

2010/08/20

ほんの1時間程の
ありふれたものを使ってみせる影絵のショー
満員の劇場では僕を含めて
大人たちが影絵を見て大喜びする
みんな騙されたくてあの劇場の客席に座り
パフォーマーは騙すためにステージに立つ
騙す側と騙される側で
どんな関係が築けるかが
感動の質を左右する
影絵そのものに感動しているのではないのだ
それを通じて届く
作り手のメッセージに
感動しているのだ
お客を一人一人送り出す
パフォーマーを見て
そんなことを考えた

アレッポ石鹸

2010/08/19

どこにあるのか見当もつかないまま
アレッポ石鹸をずっと探していた
スーパーでは普通の石鹸を買おうと
何度も手にとって、その度に思いとどまった
昨日はJordan Valley(!)という店に行ったけれど
Jordanで見かけたような石鹸はなかった

今日、近所で立ち寄ったムーミン65周年の
エキシビションをやっていたデザインショップに
なんと、アレッポ石鹸が置いてあった

お洒落にパッキングしてあるが
紛れもないサボンガール

それは旅行先にもかかわらず
歩いて5分かからない近さにあった
こんなに世界は広いのに
contactはいつも近くに潜んでいる

Tabú・NoFit State Circus

2010/08/19

バスに乗ってサーカスを見に行った
映像などのテクノロジーは
無くてもいいぐらい最小限なのに
ブレードランナーを思わせる
近未来な感じはどこからくるのだろう。

客席はどこにもなく、それぞれ好きな場所から
ビールやワインを手に持ったままで
ライブバンドの演奏に合わせて
空中で起こっているシーンを見上げる
アクターが自分のすぐ脇を駆け抜ける
ピエロ役はとても小さな筋肉質の女性
テントの中は絶えず笑いと拍手と歓声で満たされる
サーカスのアクターのmotionが
化学変化のように観客のemotionに変成する
アクターは一様に、自分の芸を披露するようには見えず
その鍛えられた身体で重力という束縛を振りきって
ひたすらどこかに行こうと、もがいているように見えた
自分の中でもがいているなにかが呼応する
束縛の哀しさと、解放の歓び
それがサーカスだ

帰りのバスでは、若い運転手が
乗ってくるお客のひとりひとりに
Hello, How are you doing? と声をかける
降りていくお客には Thank you, good night.
エジンバラは決して田舎ではなく
けっこうな都会なのだけれど。
そうやって相手の顔を見て話しかける
寛ぎのある街なのだ

そして来た時と同じバスに
乗って帰ることができるような
小さな奇跡も起こる場所

2010 Fringe Festival

2010/08/18

なぜだか今回は
まだ劇場に行っていない

足がまだ完治していないので
長く歩くのが辛いというのもあるのだが
何か毎日やることが別にあったりする

それは
プールの会員になることや
スーツケースを修理するため
イングランドに送ることや
折りたたみ自転車を物色することや、、

そんなあれこれが一段落ついたので
明日からいよいよ芝居を見ようと
チケットを買った
2010 Fringe Festivalの始まり

プールに通う道

2010/08/17

歩いて15分ほどのところにある
プールとスポーツジムの一ヶ月会員になった

アキレス腱の怪我が完治していないので
プールでストレッチをしたり、歩いたり
泳いだりしている
左足のキックは殆ど使えないので
右腕のストロークが自然にそれをかばう
なにごともバランスしているのだ

水中の環境は怪我で弱った左足にとても優しい
水から上がると、急に重力を感じる気がする

そして、また左足をかばうように
ひょこひょこと歩いて
家に戻るのだ

朝の気分

2010/08/16

自分にとって
スコットランドといえば朝食

旅行で来ているからなのか
朝からたっぷり食べる
朝だから食欲が無いというあの気分には
ほとんどならないのが不思議だ

スコットランドの朝

2010/08/15

3週間の仮住まいのフラットは
まだ慣れないけれど

フェスティバルの街は
感じなれたいつもの空気

ラジオから流れる
パキスタンの洪水ニュースを
聴いているスコットランドの朝

薄い境界

2010/08/14

線路沿いのルピナスの花に
モンティ・パイソンを思い出す
ここはイギリス、Eustonからglassgow行きの列車に乗って
湖水地方を抜ける。風景が優しい
線路の上を走る列車
飛行機と違う、地に足がついた感覚に
少し安心している

雲の上を飛ぶのは格別だけれど
地上に戻って初めて感じたのは
そこは本来、自分がいるべきではない
場所だということ
スペースシップの中でも
きっと同じ感覚があるに違いない

けれど、前人未到の地を目指すのも
やっぱりヒトの性なのだろう
アドベンチャーはやめられない
そうですよね、Richard Bransonさん
VirginRailに乗って考えた

危険な環境と守られた環境との境界は
とても薄い

入れ物

2010/08/13

ラマダンに入ったので
時間に余裕があるはずなのだが
やっぱり出発前の忙しさは同じ

手荷物はMacBookProのバッグだけ
預け入れるスーツケースの中には
別のケースやバッグを詰めるという
マトリューシカのようなパッキング

それでも隙間がいっぱいあるので
空き箱やら梱包材を詰め込んだ

帰りの荷物のイメージが
次第にくっきりとしてくる

9年目のGlobeTrotterにも
今回は大きな旅になりそうだ

そして自分という入れ物には
帰るときには何が入っているのだろうか
そのイメージはまだ無い

ドーハの空港ラウンジにて

星が流れる夜

2010/08/12

毎年のように
この日を待ちわびていた頃があった
一年で一番の天文イベント
ペルセウス座流星群の極大日
流れ星がたくさん見られることは
もちろんすごいことなのだけれど
お互いに夜空を眺めたまま
友人とたわいもない会話をしたり
晴れる気配のない曇り空でも
テントの中や堤防や山の中で
夜を明かして何かを待っていた時間が
とても楽しかったことを思い出す

今日は流れ星は
見られるだろうか
そしてそこにはどんな時間が
流れるのだろうか

スクラッチ

2010/08/11

まもなく始まる今年の夏休みを前にして
このページ、contact of the dayの
投稿プログラムがほぼ完成した

自分にとって必要最低限の機能だけなので
ずいぶんとあっさりしたシステムだ
プログラマーではないので
時間もかかるし、エラーも多いけれど
Webという巨大なリファレンスのおかげで
なんとか作ることができた

こうやってスクラッチで作ったというのは
インターネットもWebもなかった頃
1990年代にSE/30で夢中になっていた
HyperCard、HyperTalk以来
懐かしくもあり、楽しい時間だった

過去の経験を
新しい技術でなぞっていきながら
何かを自分の手で作るということができて
とても嬉しかった

旅と呼ぶもの呼ばないもの

2010/08/10

何度も何度も
同じ場所を訪れる
それはもう旅とは
呼ばないのだろうか

けれど何度訪れても
新しいものに出会えるのなら
やはりそれは旅なのだろう

そしてこれからも
二度と戻らない瞬間に会うために
何度も何度も
足を運ぶのだろう

まあまあ

2010/08/09

湿度は70%ぐらい、気温は32度くらい
これは日本の夏とほぼ同じだ
ベタベタとした蒸し暑さに
生まれ育った国を思い出す
けれど今年の日本は猛暑だということなので
今ならパキスタンの方が過ごしやすいかもしれない

数ある先進国の中で比べても
日本の気候は決してすごしやすいとは言えない
数ある途上国の中で比べると
まあまあの過ごしやすさかもしれない

イタリアン

2010/08/08

夏のうちに作りたかった
ガスパッチョを前の晩に作って
サーモンのマリネと一緒に冷蔵庫で冷やす
庭のバジルを摘んでもらって
バッファローモッアレラでカプレーゼ
メインはきのことチーズのリゾット
今日の気候は涼しめで、冷房もかけない
夏が終わりかけているのを感じながら
イタリアンな昼飯会

ジレンマ

2010/08/07

ギプスをして
松葉杖でいろんなところに行っていた時は
ドアを開けてもらえたり
順番を先に譲ってもらえたり
椅子を出してきて座らせてもらえたり
セキュリティーのボディーチェックがフリーだったり
いいのか?という疑問はあるものの
いろいろと優遇してもらえた

ギプスが外れて
松葉杖なしでも歩けるようになって
それでも足は自由に動かないので
左足を引きずりながら歩いているのだが
これまでの優遇は全く無くなった

松葉杖の時は
「そんな優遇してもらうことはないのに」と感じ
足を引きずり歩く今は
「もうすこし優遇してくれてもいいのに」と感じる
その中間というのはあまりないような気がして
不思議な気持ちになった

このいびつさ

2010/08/06

アメダスも、雨雲レーダーも、静止気象衛星もない
大雨注意報とか洪水警報とかそんな仕組みもない
地方ではテレビを持っていない家庭だって多いし
防災無線なんてものもない

空から降ってくる雨粒には違いがないのに

僕は首都のイスラマバードにいて、光ファイバー回線で
インターネットに接続してこれを書いている

出来損ないのロボット バージョン2

2010/08/05

ギプスが外れるということは
普通に歩けるようになるということではなくて
それまで足首を固定して守っていた
装具がなくなって
身体の一部がまだ不完全な機能のままで
むき出しになるということなのだ

それはけっこう不安なことだ

それでも
ちょっと変わり果てた姿ではあるけれど
久しぶりに自分の生の足に触れることは
嬉しいのだった

平等について

2010/08/04

ちょっとした順番を先に回してもらって
嬉しくない人はいないだろう
そのせいで順番が後に回ってしまった人の
心持ちまで想像出来る人は少ないだろう

既得権益という言葉があるけれど
「他人よりも得をした」ことが
どんなにささやかでも喜びである以上は
平等というのはなかなか育たないように思う

多くの人はきっと
平等になりたいのではなくて
得をしたいのだから

「他人を赦す」ことが
「得をする喜び」以上の大きな喜びに
ならなくてはいけないのだから

病院で1時間半、待たされながら考えたこと

開放と束縛

2010/08/03

何かから開放されると
新しい何かによる束縛が
始まるような気がする

そうやって
幻想のような自由を求めて
幾度の開放を経ながら
幾度の束縛を渡り歩いている

明日は
アキレス腱断裂から86日目
ようやくギプスが外れる日

変わり目

2010/08/02

湿気はかなりあるのだが
ようやく気温も下がってきて
夜には30度を切るようになってきたので
寝るときにエアコンをつけなくても良くなった
クーラーを切ると暑いのだけれど
身体への負担は結局減るような気がする
不思議だ

それでも天井の扇風機は
びゅんびゅんと廻していて

40度超えの日々を、ずいぶん
前のことのように思い出しながら
ここにはここの
季節の移り方が
あるのだなと感じている

最高のカプレーゼ

2010/08/01

パキスタンには水牛がたくさんいる
紅茶に入れるミルクも
水牛のミルクを使うことが多い

バッファローモッツアレラを
マーケットで見つけた
一袋約400円
冷蔵庫に入れないと
もたないような食品は
ここでは一般的でないので
外国人向けなのだろうが、
これが濃厚でとても旨い

庭で取れたバジルと一緒に
トマトとオリーブオイル
上から岩塩をすこし振って
今まで食べたなかで一番美味しい
カプレーゼを作って食べた