幕間
2004/04/03
ここに引っ越してきてから、半年が経った
荷物がひと揃いやってきてからは、三ヶ月が経った
まだ半年間、見てない季節があると思うと
わくわくしてくる
掃除をして、寝室のレイアウトを替えたりしながら
幕間の休憩時間みたいな一日を過ごした
日が傾く頃、初めて聞く、鳥の鳴き声を耳にした
2幕目のベルだ
明日は初めてのお客さんがやってくる
山桜
2004/04/02
散ってしまう前に,見ておかなくてはとおもったので
裏の茅木山に山桜を見に行った。
遠くから見ると、この辺りの山の中でも
ひときわ明るく、桜の白い花が目立って見えていたからだ。
黒々と湿ったふかふかの土を踏みしめながら
うぐいすの鳴き声を聞きながら
山に咲いているのは桜だけではなくて
白や青や紫や黄色や
色とりどりの花が足下に咲いていて
春を告げている。
薄暗い山道、足下を埋め尽くすように広がる
真っ白な無数の花びらに
見上げると、遥か頭上、光を求めて高く高くのびる木の枝の先
空に近いところに白い花が光を浴びていた。
山で見る山桜は,思いのほか遠くにあった。
とても手なんか届きそうになかった。
座席5つのちいさなカレー店
2004/04/01
このところ引きこもりがちの日々が続いたので
久しぶりに町に行った。
駅前の小さな小さなカレー屋に入ったら
4月いっぱいで店を閉めるという張り紙がしてあった。
近々に、家からはもっと近い海岸のあたりに
エスニック料理店として店を構える予定らしい。
そのときはきっと、今みたいに小さな小さなカレー屋では
なくなっているのかもしれないな、
そうおもうと少し寂しいような気もした。
けれど、キーマカレーを食べながら
「このお店閉めるんだね」
「そうなんですよ、、あ,今日はポテトサラダ終わったから、これ、気持ちね」
そういって、皿の横にそっとおかれた20円と
薄汚れた壁に張ってある、厚紙に書かれた
手書きのフェルトペンの茶色の文字を見ていたら、
はやく,近所でこのカレーを食べたくなった。
雨のシャッター
2004/03/30
今、住んでいる家のあたりでは
雨の日には、世界はよりいっそう静かになって
孤立感が増した気分になる。
別に世界と隔絶してるわけは無く
傘をさして外に出たり、車で出かけたりすれば
いいのだけれど
柔らかい水のシャッターに覆われているのも
悪い気分ではない。
スロットル
2004/03/29
原付バイクで走る
風が生ぬるい夜
いろんな場所で、いろんなにおいがした
いろんなものが、暖かさに力を得て
自己主張してるような気がした
僕も少しエネルギーが湧いたような気がして
スロットルをまわした
開花
2004/03/28
こんなところにも桜の木があったのだと
気がつくのは1年のうちでもこの時節だけだ。
いつも通る道や、いつも眺めている山が
そのおかげてとても新鮮に見える
なにかに祝福されているような気分のする
桜の咲く頃
スタジオの誕生
2004/03/26
小さな貸家だけれど
小さな部屋の積み重なった荷物を片付けて
自分の居場所が一部屋増えた。
たった3畳の小さなその部屋は
茅木山スタジオと呼ばれています。
水の記憶
2004/03/25
今週は泳ぐ週
先週末からそう決めて
ほぼ毎日プールに行っている。
毎日1時間ぐらい、水の中で過ごすのは
とてもいい気分で、
泳いでいるといろいろなことを思い出す。
記憶が水でつながるのだ。
後ろ姿
2004/03/23
曇り空、風の冷たい3月の午後
海に浸かり、頭から波をかぶりながら
沖に向かって波を待つサーファー達の後ろ姿が
なんだか修行僧のように見えた。
同じ波は2度とは来ない
波に乗っている時間は、待つ時間に比べれば限りなく短い
だからこそ、楽しいに違いないのだ。
サーフィンをとてもやってみたくなった。
雨戸
2004/03/21
雨戸を閉めて寝ると
ぐっすりと眠れることに気がついた。
朝になって、雨戸を開けると
真っ暗な部屋からまるで夜が逃げてゆくように
闇が,光に吸い込まれた。