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憎悪と嫌悪は質的に違う

2010/09/30

パレスチナには憎しみがあって
その地に立つと、それはとても根源的な
もののように思えた

ここに来てからで感じているのは
憎しみというよりも
恨みつらみ嫉み妬み
そんな感情だった
それは憎しみとは
別の場所から来ているように思える

ここ最近、日本から発信される
いろいろな意見をネットで読んで驚いている

憎しみや、恨みというものから
発現したようには見えない
嫌悪という感情を
たくさん感じたからだ

いったいこれだけの嫌悪が
どこから来るのか
僕はその理由がわからなくて
ただ恐ろしさを感じた

でもそれは
好きになったり、愛したりという感情が
どこからくるのかわからないのと
同じことかもしれない

だとすれば
恐れなければいけないのは
その感情の生まれる場所や理由ではなく
その感情が故に
自分が盲目になってしまう
ことなのだと思った


バニラ味

2010/09/28

今だに、左足だけでは
つま先立ちが出来ない
衰えた筋肉と
足首の可動域が
まだ完全に戻っていないためだ

そんなわけで
ホエイプロテインというものを買ってきて
筋肉をつけてみることにした

つけたいところに
きちんとつけられるかどうかは
まだわからない

トマト

2010/09/27

洪水のために
野菜の値段が跳ね上がった

トマトは3倍の値段になって
小さくて色も形も悪くなった

日本から来た自分にとっては
1キロ30円だったのが
1キロ100円になっただけなのだけれど

ここでは
このトマトが買えなくて
大変な思いをする人たちがたくさんいる

世界には
1キロ30円の貧弱なトマトもあれば
1キロ3000円の高級お取り寄せトマトもある

豊かになるというのは
いったいどういう事なのか

より多くの財産を持つ人達のために
豊かさを感じさせるための
サービスや財が次々と生み出される
それと同時に
格差は再生産されてゆくように思える

そんなサービスや財の中に
豊かさを追い求めることを
いつかやめることはできるだろうか

イスラマバードの壁

2010/09/26

外から攻撃されないようにするために
壁はますます
厚くなり
高くなる

攻撃の意欲を
殺ぐためのそんな壁が

いたる所に
立っているのが
この都市だ

大雨の夜

2010/09/24

昨晩は大雨が降った
パキスタンでは洪水で多くの人が被害を受けているが
イスラマバードにいる限り実感がない
この雨もやがてインダス川に流れ込み
また被害が広がるのかと思うと
雨音も心地よくは聞こえない

救援物資を運ぶトラックや
そのパッケージには
でかでかと政治家の写真が
貼られているものもあるという

何も手を差し伸べないよりは
ましという見方はいつもあり
それはしばしば、強い説得力を持って
受け入れられる

社会の仕組は、もう
仕組みそのものを本来の目的で使うことが
難しいと思えるほど
とても複雑になってしまっている

こんな世界でリアルに感じられることは
なんだろう

いまだに不自由な左足をストレッチしながら
自由になればもう
不自由を実感することは
きっと出来なくなるのだと
思い至る、大雨の夜


中秋の名月

2010/09/22

豆乳ラテを作って
明かりを消し
南の窓際に寝転がって
高く登った月を部屋から眺めている
音楽は、グールドのゴールドベルク変奏曲
庭で鳴いている虫の声が
テンポを合わせているかのように聞こえた
スピーカのボリュームを少し絞って
合奏曲として聴くことにした

洪水

2010/09/19

洪水の支援要請額は20億ドル
ハイチの地震も、スマトラ沖地震津波も超えて
自然災害では過去最高になったという
被災者は2000万人を超えると言われる
けれどイスラマバードにいると
まるで別の国のことであるかのように
実感がない
自分はここにいて
何が出来るのかよくわからず
粛々と自分の仕事を続けるしか無い
ここは善意の援助を届けることさえも
一筋縄ではいかない国なのだ

川の流れ

2010/09/17

川は地形と水の流れによって
自然に形作られる
人為的に川に大量の水を流しても
川の流れを変えるのは難しい
流れを変えるためには
地形を変えたり水源を変えたりして
自然のバランスを変えなければいけないからだ

開発とのアナロジーで考えると
川の流れは、現地の習慣や既存の価値観
人為的に流す大量の水はマクロレベルでの投入

小さな水源や、細い支流を
ミクロレベルでこつこつと変えることなくしては
一時的に川の水を増やしても
投入が終われば元に戻る

護岸工事やダムで川の流れを力づくで変えても
投入が終わったときに
自然に抗うその環境を
誰が維持することができるのか

そして成果主義のもとでは
細い支流や、小さな水源には
あまり目は向けられない

2年目の秋

2010/09/15

日中は30度を超えるぐらい
夜は20度前後と
このところ
心地いい気候のパキスタン
明らかに夏は終わって
空も秋の色

暑い夏の印象がとても強くて
去年もここにいたはずなのに
どんな秋だったのかが
よく思い出せないでいる

Brass Monkey

2010/09/13

10日ほど前のことだけれど、どこか遠い出来事
エジンバラ大学の3週間の英語コースも終わった金曜日の夜
最後の夜ということで同じクラスの数人とバーに行った
韓国の新婚夫婦、北京から来た中国人
スペイン人の女性2人、そして日本人の僕
会計の仕事をしている韓国の男性はMBA取得のため
北京から来た女性は大学で英語の教授法を学ぶために
これから先もスコットランドに滞在するらしい
スペイン人の若い女性は今年バルセロナの大学を出て
ツアーガイドの仕事をしたいが、就職できるのか不安と話す
バレンシアの女性はセネガル人と結婚していて
旦那はムスリムだが自分はクリスチャン
ラマダン中でも夫の断食を気にせず
自分はいつもどおり食事をするという
僕は今仕事をしている国
パキスタンのことについて少し話す

好きなテレビドラマや、最近見た映画
そんな共通の話題があったり
自分の国のバーはどんな風だとか、気候のことだとか
国それぞれの話題があったり

エジンバラのバー、Brass Monkeyで過ごした時間
特別に盛り上がるでもなく
その時は他愛もない時間に思えたけれど
パキスタンに戻ってきて
なぜかあのバーの夜を思い出している