contact of the day

back to joruten TOP

パキスタンに戻る

2010/09/11

日常生活の場という安心と
同じくそこにある緊張の中に戻る

到着した機内から見えた数多くの空港コンテナは
洪水の支援物資だったかもしれない

いつものように人で溢れている空港
中ではなく、ゲートの外で待つ多くの人
誰もが飛行機に乗って、海外へ行くことは出来ない
だから、空港はいつも、旅行者よりも
見送りと出迎えの人で溢れている

どんなにもがいても逃れられない不自由がこの国にはあって
お金で買える自由のために
いろいろな争いが起こる
いくら働いても克服できない貧困がこの国にはあって
お金で買える豊かさのために
いろいろな争いが起こる

それがお金では買えないことを
みんな知っていれば
争いは起こらないのだろうか

Dude(犬)はとてもうれしそうに
びゅんびゅんとしっぽを振って
飛びついて迎えてくれた

3本立て(1/3)

2010/09/10

帰りの機内で見た映画が思いのほかよかった

「GreenZone」

アラブを知るということは
世界を知ることのひとつのステップにしか過ぎないのだと思う
そして世界を知れば知るほど
自分とは何者なのかを知ることに戻り着く
ラストシーンを見てわかったのは
これは「アラビアのロレンス」だったのだということ

第1次世界大戦で、イギリス、フランス、ロシアが交わした密約
サイクスピコ協定が、現在のパレスチナ問題に繋がっているように
イラク戦争でのアメリカの失敗も未来に遺恨を残し続けるのだろうか

3本立て(2/3)

2010/09/10

「のだめカンタービレ最終楽章(後編)」

クラシック音楽を聴き始めたのは
高校2年の頃だっただろうか

あの時、クラシック音楽を聞くために使った時間があったから
この映画にこれだけ感動できるのだろう思った

親しかった友達に誘われて、
夏休みに吹奏楽部の臨時部員になったことがあった
友達はホルンで、僕のパートはシンバルだった

3分で終わるポップミュージックと比べると
1曲聞くのに長い時間がかかるし
何をどう感じればいいのか、よくわからないと思っていた
聴きやすい曲ばかりだよと、勧められて
貸してもらったカセットを家のラジカセで聴いた

卒業する前には、カセットテープを買い込んで
音楽の先生に音楽室にあるレコードから
好きな曲のリストを渡して録音してもらった

その頃好きでよく聴いていたのは
新世界交響曲、パッヘルベルのカノン
ラヴェルのボレロ、ベートーベンの第7交響曲
シューベルトの未完成交響曲、チャイコフスキーの弦楽セレナーデ
今でもみんな好きな楽曲ばかり

クラシック音楽を聴く面白さを
気が付かせてくれた友人達に感謝

まったく人生、どのタイミングで、過去の経験が
リフレインしてくるかわからない
指揮棒を振っているのは誰なんだろう

3本立て(3/3)

2010/09/10

「El Secreto de sus Ojos (The Secret in their eyes)」

欲望が、ある時はストレートに、ある時は屈折した形で
現在と過去、フィクションとメタフィクションを行き来する
スペインの映画

恐れは人をたやすく間違った方向に動かす
そして恐れの連鎖を断ち切れるほど、人は皆、強くはない

恐れを克服して何かを全うするため
主人公は体験に基づいた小説というフィクションを使う

25年をかけた物語の行き着く先は
幸福も不幸も生き方の問題でしかないのだという
あたりまえのようだけれど重い真実

ストーンヘンジ

2010/09/09

周囲をぐるりと歩き廻ったり
石の間を抜けて中に入り込んでみたり
組みあげられた石を下から見あげたり
中心あたりに立って、前後左右の対称を確かめたり
そんなことをしているうちに
自分が何かの機械の中にいる気がしてきた

明らかにメッセージは存在している
けれども機械の作り手と
まったくコンテキストを共有していない
現代の私たちは
そのメッセージを受け取ることが出来ず
その意図も内容も知ることはない

子供のときに、興味本位でカメラを分解して
壊してしまった時のことを思い出した

この機械は、もう壊れてしまっているのだろうか

朝もやにじっと佇む古代の石たちの向こうに
自動車の連なる現代の道路が見えた

グローブトロッター

2010/09/08

ロンドンでミュージカルを観終わって
日付も変わろうという頃
やっと、ホテルに到着すると
荷物が届いていますと言われた

ロンドン近郊の工房に送ってから3週間
修理されて戻ってきた
空っぽのスーツケース

2001年に新宿の伊勢丹で買った
英国GlobeTrotter社製のスーツケース
幾度も旅を重ねるうちに
ロックが掛けづらくなったり、あちこち歪んだり
亀裂が入ったり、ホィールの回転が鈍くなったりと
メンテナンスが必要な状態だったので
今回の旅行を機に、本社の工房に送って修理を頼んだ

ところどころ新しくなったり、継を当てられたりした
帰ってきたスーツケースを見て嬉しくなった
こうやってまた何年も使って、また修理して
ずっと、そんなことを繰り返して
旅を続けていければいいなと思ったのだった

壁越え

2010/09/07

旅行前から決めていた
Billy Elliot をロンドンで観た
映画(邦題はリトル・ダンサー)のミュージカル版だ
スティーブンダルドリーの作品とあって
とても期待していたのだが
映画との違いを強く感じたまま劇場を出た

子役は誰もがあまりにも上手で
踊ることで、観客を湧かせていた
けれど映画にあった、技術はないけど懸命に踊る
パッションというのは見られなかった

もう一つは映画のラストシーンが
ミュージカルには無く
だから映画のラストシーンで僕が経験した
感動も、舞台には無かった

映画からあのラストシーンを取れば
映画もミュージカルも見事に調和するし
それでも映画として特に破綻はない
でも、それが作り手の届けたかったものだったとすれば
自分には作品がとても凡庸に見えてしまう
あのラストシーンに辿りつくまでに流れたであろう
語られない時間すら消えてしまう気がするのだ

そしてその穴埋めをするかのように
踊りも、音楽も、饒舌すぎる気がしたのだった

作品の中では明示的に語られていない何かを
暗黙のまま受け取ったと感じたとき
メッセージは形式を通じてしか受け取れないという
大きな壁を超える
だから感動にはいつも言葉にできる理由がない
自分はその壁超えの瞬間のカタルシスを求めて
劇場に足を運ぶのだということに気がついた

湖水地方の苔

2010/09/06

好きなだけ思うように歩けない
そんな旅行は初めての体験だった

ゆっくりとしか歩けないのがもどかしいのは
効率が一番大切だと、思い込んでいるマインド

走る列車の窓から見る羊の群れ
羊はみんな止まっているように見える
けれど歩きながら見ると、草を食んだり、のそのそ歩いたり
いろんな動きをしている羊たちが見えた

出来る限りの経験をしようと
知らず知らずの間に自ら効率を求めて動き
その結果いろいろなものを
見落としてしまっているのかもしれない

ゆっくり歩くことを受け入れれば
別の世界が見えてくる

どんなにゆっくり歩こうとも
世界とコンタクトすることさえできれば
そこには濃密な時間が流れるのだ

そしてまた儚い夏がひとつ過ぎ

2010/09/05

エジンバラ最後の夜、ファイヤーワークスコンサート
今年の演目は50〜70年代のハリウッド映画音楽
ケレン味が花火とマッチしてなかなか楽しめた。
宙を目指して飛ぶ花火の、重力と拮抗する様が
映画音楽のストリングスと見事にシンクロしていた
燃えて尽きるはかなさでなく
空に届かないというはかなさを
花火を見て感じたのは初めてかもしれない

Do You Know the Way to San José

2010/09/03

10年ぐらい前のことだったと思う
最初にスコットランドをレンタカーで旅して廻ったとき
ドライブインでBGM用に適当に買ったのは
Dionne Warwickのカセットテープ
一曲目に流れてきた「Do You Know the Way to San José」
僕はとても気分よく夏の終わりのスコットランドをドライブした

今日、エジンバラ大学の夏期英語コースの最終日
教材として取り上げられたのが、同じ曲
「Do You Know the Way to San José」

それは都会で夢敗れ、故郷に帰ることを歌った曲