月毎の「contact me ギャラリー」、今回は、特別企画です。

Cannon写真新世紀展に入選した、写真家、吉岡さんの作品の一部を掲載します。入選作品のタイトルはずばり「CONTACT ME」です。12月7日から東京、南青山の「Modapolitica」で最終選考審査を兼ねた、入選作品(9名)の合同展が行われました。

彼女とはよく高層ビルの最上階にあるカフェによく行きます。天井がガラス張りなので、自然光が四方八方から入り、高層階のため、視界を遮るものはありません。都会の真ん中だけど、空は広くて、高いのです。目の高さにあるのは空と、飛び交うカラスです。このカフェで時間を過ごしていると、自分がなんだか、天と地の間に存在しているような気がしてきて、カラスは天と地を結んで飛ぶ使いの様にも見えてくるのです。

特に夕方、陽が沈む頃は圧巻です。スモッグの向こうに太陽が沈む少し前、残光を取り込もうとするかのように西側の窓のシェードは静かに上がり、オレンジ色の光線がほぼ真横から差し込んできます。昼と夜の境に存在するカフェ。従業員がテーブルごとに明かりを灯してゆき、夜を迎える準備をします。刻一刻、変わっていく空の色とカフェの様子はまるで時間の流れそのものを見ているようです。

適度に空調の効いたガラス張りの空間、カラスの鳴き声も、はるか下に見える街の喧噪も聞こえることはなく、ありがたいことにBGMもありません。

都市の街並み、カフェのテーブルやソファ、コーヒーカップ、人の話し声、そんなリアルなものと同時に視界に入る、飛び交うカラスと無限遠の空。日常の中にふと垣間見える、無限遠。自分がつながっている場所、つながるべき場所は、ここなのか、あそこなのか。今なら手をのばせば、無限に手が届くのではないかと思えてくる不思議。かつて、そうやって、あの「月」を掴まえようとしたことはありませんでしたか?

それが、CONTACT MEです。

© 2001 JORDAN-JAPAN ASTRONOMY CLUB / JORUTEN

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